
開催日:2025年11月30日(日)
会場:府中市民協働まつり会場内ブース
『ボッコちゃん』はショートショートの神様と言われるSF作家、星新一による1958年発表の作品。
今回は「読書会っておもしろそう」と、中学生も参加してくれました。若い人の明るく素直な発言はいつにも増してよい刺激となりました。
【あらすじ】
バーのマスターが道楽でボッコちゃんという美人ロボットを作った。酒を飲み(足元の管からマスターが回収)、客の言葉をオウム返しするだけなのだが、冷たい素振りがかえって客の気を引き、人気を呼んだ。
ある青年がボッコちゃんにのぼせて思いつめた挙げ句、毒入りの酒をボッコちゃんに飲ませて店を出る。マスターはその酒を回収して客に振る舞い、自分も飲む。バーにはボッコちゃんだけが残って次の客を待つ。
【読書会で出た感想(後で送られたコメントも含みます)】
その後の展開は?
👩青年以外みんな死んで、この後どうなったんでしょうね。
👨警察が来ても証人がいないのだから青年は捕まらない。当時は防犯カメラもないから、完全犯罪だ。
👩🦳思いがつのっておカネをたくさんつぎ込んでしまい、すっからかんになって気持ちも追い詰められ、強い独占欲から彼女を殺したくなる。でも愛した女の死ぬところを見たくないから、おカネを払って逃げるように店を出た。そんな映像が目に浮かびました。
👱罪の意識を引きずって生きるのかな。
👱いや、マスターも客も喜んで「ただ酒」を飲んだのだからね。青年はボッコちゃんが死んだかどうか見届けないで帰っちゃうんだから、あんまり罪の意識はないんじゃないかな。
何で殺したのか
👧青年はどうしてボッコちゃんを殺そうと思ったのかしら。失恋くらいで殺すの?
👱父親の説得もあったりして、女が本気でないと知り、殺しに行こうと決めたのでは?
👩🦱私は、彼がボッコちゃんを道連れに心中するつもりで毒を持ってきたと思った。
👵失恋と言うけど、単なる片思いではないのよ。俺がこんなに愛しているのに彼女は振り向いてもくれない。父親に怒られるほど通いつめているのにモノにできなかった。それは相手が悪いんだから殺されて当然、俺は悪くないんだという幼児的、自己中心的な考え方。最近あったストーカー殺人事件の犯人も、女性に一方的に好意を抱いていたのよね。
👨🦰男というのは70年前も今も変わらないということかな。すごい先見性だな。
青年の正体
👱主人公はマスターやロボットではなく、この未熟な青年なんだね。
👩青年は星新一その人、星製薬の御曹司。父親のカネでバーに通っている世間知らずのウブな坊っちゃん。バーのホステスにのぼせて貢いでるのがバレて父親から怒られた。貢いだ相手からは冷たい仕打ちを受けた。頭にきた体験が元になっていると思う。妙にリアリティがあるし。さすがに殺人はできないから小説で恨みを果たそうとしたのよ。もし当人でなかったら、バー仲間からネタを仕込んだのかも。
なぜマスターも毒入りの酒を飲んだのか
👨🦰マスターは回収した酒を客に飲ませて儲けようという商売人なのに、自分も飲んだのはなぜ?
👧「カウンターの中でちょっと」と書かれている。そんなにたくさん飲む気はなかった。でも金儲け主義者なのに、客に奢っちゃうのね。
👱ロボットが飲んだことになっている酒を回収して再利用しているのだから、損はしてないと思っているんじゃない?
👩俺以外みんな死ねと思っているから、作者はこういう結末に持っていったのよ。
🦰どうしても、青年イコール星新一、星新一の怨念小説にしたいようだね。酒を回収するプログラムをロボットに仕込んだという伏線を「そして誰もいなくなった」という結末で回収したということでしょう。
美人とは
👨🦰「あらゆる美人の要素をとり入れた」とある、どんな感じかな。美人とは北川景子、ヘプバーン、それにモンローとかを全部足した感じ? 全部足したら完全な美人ができるのかな。モンローはすごく頭のいい人だったんだよね。
👧頭が空っぽというのを、ここでは理想の女性と言っているみたい。
👨🦰その表現は今はダメかも。70年前の女性観ですね。
👩🦱銀座の高級クラブのホステスさんは社会情勢もよく知っていて文芸作品なども読んでいるって聞いたわ。機知に富んだ受け答えができないと務まらないらしいから、頭空っぽがかえって人気を呼んだというのは皮肉っぽい感じね。
ロボットテクノロジーの今
👨🦰『ボッコちゃん』の発表は1958年。その数年前に鉄腕アトムが登場している。ボッコちゃんはロボットとしては低機能だけど、容姿は生身の女の子と変わらない。
👩荒唐無稽な感じもするけど、AI技術が進化した今、人間並みの接客ができるロボットがいても不自然ではないわね。
👨🦳確かに。ChatGPTに恋愛感情を抱く人も多いらしいし、つい最近も自殺の相談に乗ってもらって自殺してしまった人がいて問題になったね。
👩オウム返ししかできないボッコちゃんに比べると生成AIの自然な受け答えは人間並みかそれ以上。自由に歩いたりお喋りするロボットなんて一昔前は漫画の世界のことだと思っていたけど、人間そっくりの姿で自由に喋ったり動き回るようになったら、便利でありがたいと同時に恐ろしい気がするわ。
👨🦰ロボットを造ったせいでみんな死んでしまうことになる『ボッコちゃん』は、現代のAIテクノロジーの進展に対する警告とも言えるね。
