開催日:2024年11月24日(日)
会場:府中市民協働まつり会場内ブース
【あらすじ】
大国と小国が平和に隣り合う、ひとけのない国境で、老人と青年の兵士が親しくなる。二人は将棋を楽しみ、野ばらや蜜蜂の羽音に心和ませて過ごす。しかし、両国は利益問題から戦争を始める。老兵は自分を殺して手柄を立てろと青年に言うが、青年は拒否して北の戦闘地帯へと去り、そこで死ぬ。老兵士は青年の身を案じていたが、夢に青年が現れ、野ばらを嗅いで通り過ぎる。やがて野ばらは枯れ、老人は故郷に帰る。
【読書会で出た感想(メールでお送りただいた感想も含みます)】
反戦がテーマ?
👧個々人の平和な日常がお国の事情でいとも簡単に壊されてしまう。今の、ロシア、ウクライナの戦争を思い浮かべました。野ばらを枯らしたくない。
👦野ばらや鳥や虫たちは平和な日々の象徴。利益問題から戦争が始まったとあるが、国どうしが均衡を保って共存する関係というものは成り立たないのか。時間の経過と常に揺れ動いてる危ういバランスの上に我々人間は生きているのかと考えさせられた。
👨🦳 老兵はせがれや孫が住んでいる南の国に暇をもらって帰りたいと言っている。最後、彼は故郷に帰る。老兵に焦点を当てればハッピーエンドだね。
👨🦱老人がかわいそうな結末にならないようにした。お年寄りを大切に。それがテーマなんじゃない?
👨🦳それはないでしょう。
👨読み終わったとき、「で?」と言いたくなった。
👨🦱私も薄っぺらな作り話みたいに感じた。敵味方であっても人は友情で結ばれると言いたいのかなと思いました。
どこの国のお話か
👩🦳 野ばらはどちらかと言うと私達には馴染のない花ですよね。
👧この場合、桜とか梅でないとすると、野菊あたりが日本的かしら。
👩🦱『野ばら』という映画を観ました。外国の映画。
👧「童は見たり野中の薔薇」というゲーテの詩を小川未明は当然知っている筈だから、野ばらのイメージを思い浮かべたのではないかしら。
👩🦳国境が出てくるので外国のお話のような感じですね。ヨーロッパのどこか。野ばらが似合いそうな。
👦国境と言っても長い境界線があるわけではない。石碑があって、最後の方で老人は石碑の礎に腰かけている。この国境は山の峠道にある標識のようなものでしょう。ここから先は〇〇村みたいな。
👨将棋は日本のゲームだし。外国ならチェスですよね。日本の子どもが読んでも違和感がないようにしたのでは。
👩🦱どこか遠い国の出来事のような、無国籍のおとぎ話のように感じました。あんまり切迫感がない。
小川未明の作品
👦子どもの頃、家に『赤いガラスの宮殿』という本があった。表紙もうっすら覚えているのだが内容はすっかり忘れていた。何となく嫌いと言うか、いや~な感じがしていた。今回青空文庫をちらと覗いたら、どうやら死者の国に行く話みたい。童話としていかがなものかという気がするね。
👨🦳『赤い蝋燭と人魚』は残虐極まりない復讐譚です。
👨勧善懲悪の教訓話と言うには度が過ぎている感じですね。
👧『金の輪』は病気の子どもが、金の輪を転がす少年と知り合い、いっしょに遊ぶ夢を見る。その子はまた熱が出て、2、3日めに7つで亡くなりました、で終わる。子どもが死ぬ話。強烈な印象を受けました。
👩🦳童話だからホンワカな筋にすべきだとは思わないけど。むしろ大人向けのお話として、魅力を感じますね。
小川未明という人
👧小川未明は若い頃にマルキシズム、アナキズムに心酔し、戦時中は一転して子供向けに戦意高揚の童話を書き、敗戦後に反省したらしい。童話界の大御所として君臨した。若手から批判されています。
👩🦳まあ、時流に押し流されたということなのかしら。批判できない気もする。私達への戒めとして。暗い作品が多いみたいで、私は好きですけど。