(アーネスト・ヘミングウェイ作『われらの時代』より 高見浩訳)
開催日:2023年11月26日(日)
会場:府中市民協働まつり会場内ブース
【あらすじ】
イタリアの保養地のホテルに滞在中のアメリカ人夫婦。窓際に立って雨の降る外を眺めていた妻は、窓の下にうずくまる子猫を見つけてひろいに行くが、猫は見つからない。部屋に戻ると、メイドが支配人から申しつかったと、太った三毛猫を届けに来る。
【読書会で出た感想の一部(後で送られた感想も含みます)】
- 冷めつつある夫婦仲
👨🦱 夫は包容力があり、たいていのわがままは聞いてくれそうな優しい人である。妻が何を言っても「いんじゃね?」と答えてはくれるが、ねそべって本を読んでばかりで、まともに相手になってくれない。ちょっと幼い感じの妻に対し、保護者のように振る舞っている。妻と対等に向き合っていない。この夫婦にはどことなく不穏な空気が漂っている。夫婦はこの後、どうなるのだろう。妻はこのまま、みじめな人生を送るのだろうか。 - ホテルの支配人
👩 女心を熟知していそうな、ロマンスグレイのイタリア男。妻を「若いアメリカの娘」と表現しているが、支配人を父親のように親しく感じているうぶな娘の気持ちを表していると思う。フロントで支配人に会ったとき「何かしらとても小さなしこりのようなものが、彼女の胸の奥に感じられた」とあるが、彼女は支配人に恋心を抱いているのだ。
👧 自分が年上の憧れの人(=父親)にとって重要な存在であるように感じているのかも。
👦 けれども、メイドに持たせた猫はまるまる太った別の猫だった。猫なら何でもいい? 支配人も結局は彼女の気持ちを本当に理解しているわけではなかったのだ。 - 猫が指すものとは
👨 雨に中に見捨てられている猫を妻は自分の分身のように感じていたのではないか。
👧 雨の中の猫に自分を投影しているとは思いつかなかった。作者は何が言いたかったのか、わからなかった。
👩🦱 猫は実在していない。幻覚。妄想。妻以外、誰も見ていないのだから、(親切心から)太った三毛猫を届けさせても不自然ではない。
👩 だとすると、大人になりきれない女をかなり冷たい目で見ているのかしら、作者は。だんだん可哀想になってきた。